本事業の目的
近年、小型衛星の打ち上げ機会の拡大等により、衛星データの質・量が抜本的に向上しつつあり、防災、インフラ維持管理、農林水産業、交通、物流、金融・保険等の様々な分野において、衛星データを活用した社会課題解決が期待されています。
しかしながら、これまでに政府の衛星データプラットフォームに集約されている衛星データは、頻度・解像度・データ種別の各面で課題があり、特定地域のユーザーのニーズに十分に寄り添った形でのデータ提供が進んできませんでした。
こうした状況を解決するため、本事業では、経済産業省が地方公共団体・企業・団体からのニーズ情報の提供を踏まえ選定した地域において、当該地域等が抱える課題の解決に必要となる様々な商用衛星データを追加的に調達し、衛星データ以外の地理空間データも充実させた上で、衛星データ等を活用した課題解決のためのソリューション開発実証を集中的に行います。
事業内容
現在、世界的な衛星コンステレーションビジネス(※)の進展により、宇宙産業のゲームチェンジが起こりつつあります。こうした中、我が国の宇宙活動の自立性を維持していくためには、民生分野の優れた部品・技術を活用して人工衛星等の低コスト化、高性能化、短納期化を実現すると共に、様々な産業における衛星データの利活用を促進する必要があります。
このため、SERVISプロジェクトでは、特定地域を対象に複数種類の衛星データを調達し、様々な産業・地域の課題解決に資する衛星データ利用ソリューションの開発支援を行います。
本公募では、衛星データを活用した様々な産業の生産性向上にコミットする複数の地域において、ソリューション開発に必要な衛星データを課題・テーマを絞り一括調達したものを、衛星データプラットフォーム「Tellus」上で無料で利用することができる事業者を募集します。
(※)超小型・小型衛星を多数打ち上げて一体的に運用するビジネスモデル
事業スキーム
本公募は、衛星データの無料利用を希望する事業者に対して、事業計画や実証アイデアの提出を求め、審査を行い、審査を通過したものに対して実証期間を設定の上、衛星データの使用を許可するものです。
本年度募集するのは「公募A(事業化前提の試用)」と「公募B(アイデア段階の試用)」の2種類で、公募種類別のデータ利用期間は以下のとおりです。
(a)公募A(事業化前提の試用)
第1回公募選定事業者:令和4年8月頃から令和5年3月までの約8か月間
第2回公募選定事業者:令和4年11月頃から令和5年3月までの約5か月間
(b)公募B(アイデア段階の試用)
第1回公募選定事業者:令和4年8月頃から令和4年10月までの約3か月間
第2回公募選定事業者:令和4年11月頃から令和5年1月までの約3か月間
第3回公募選定事業者:令和5年2月頃から令和5年3月までの約2か月間
提供するTellusのデータ
本事業では、衛星データプラットフォーム「Tellus」上で以下の衛星のアーカイブデータを無料で提供します。採択された事業者にはTellus QGIS(※)のアカウントが発行され、一定期間、Tellus QGIS上で提供された衛星データを解析することができるようにします。衛星データそのもののダウンロードはできません。また、アクセスするためのPCやインターネット環境等の機器・通信環境はご自身でご用意ください。なお、提供するデータは変更になる可能性がある他、事業期間中に衛星データ種類が追加される可能性があります。
(※)QGISは、地理情報システムの閲覧、編集、分析機能を有するクロスプラットフォームのオープンソースソフトウェア・GISソフトです。Tellus QGISは、Tellus上で動作するクラウドのQGISになります。
- データ提供を予定している衛星データ
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- <光学衛星>
- ①アクセルスペース「GRUS」
- ②Maxar「WorldView/GeoEye」シリーズ
- ③Airbus「Pleiades」シリーズ
- ④CNES「SPOT」シリーズ
- <SAR衛星>
- ⑤JAXA「ALOS-2」
- ⑥Synspective「StriX」シリーズ
- ⑦QPS研究所「イザナギ」「イザナミ」
- ⑧JEOSS「ASNARO-2」
その他、Tellusに搭載されている各種データをご利用いただけます。データの内容については、Tellus Satellite Data TravelerおよびTellus Marketよりご確認いただけます。
Tellus Satellite Data Traveler
ご利用にあたり、Tellusのユーザー登録が必要となります。また、データの利用についてはデータごとの利用ポリシーをご確認ください。
- 衛星データの撮像地域
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北海道の一部、富山県の一部、福井県の一部、山口県・宇部市の一部、九州地方(熊本県、福岡県、大分県、鹿児島県、佐賀県、長崎県)の一部
【北海道の一部】
<応募テーマ例>
- 土壌/作物中の飼料栽培環境の最適化
- 流木発生状況の把握
- 地形把握と水温変化による漁獲資源予測・養殖漁場の特定等
- 水色変化・潮流による養殖いけすの変位具合の判読
- 降雪期間における農業利用
- 広葉樹の樹種判別、資源量推定、病気の有無・形状把握
<Tellus搭載済みデータ(面積またはシーン数)>
- GRUS: 5,250km2
- Pléiades: 1,280km2
- StriX: 9シーン
- Izanami: L1.1が4シーン、L1.2が2シーン、L1.3が2シーン
- ASNARO-2: 1シーン※1シーンの面積は観測モードにより異なる。本事業で調達するデータはほとんどがSTRIPMAPモードで、1シーンは12km×12km。
【富山県の一部、福井県の一部】
<応募テーマ例>
(富山県)
- 河川工事における広範囲の定期的な現場状況把握
(福井県)
- 農林・防災行政における一次スクリーニング
- マイクロ水力発電の適地捜索から水量観測までのプロセス省力化
<Tellus搭載済みデータ(面積またはシーン数)>
- WorldView: 275km2(福井県)
- SPOT: 3,538km2(福井県)
- StriX: 19シーン(富山県と福井県合わせて)
- Izanami: L1.1が56シーン、L1.2・L1.3がそれぞれ28シーン(富山県と福井県合わせて)
- ASNARO-2: 237シーン(富山県)、48シーン(福井県)※1シーンの面積は観測モードにより異なる。本事業で調達するデータはほとんどがSTRIPMAPモードで、1シーンは12km×12km。
【山口県・宇部市の一部】
<応募テーマ例>
- 農政業務における農地調査での利用
- 小麦の収量予測による適正施肥量マップ作成
- 道路区画線観測
- 竹林分布の抽出
- 高反射構造物の特定による潜在的マーカーの調査・検討
- とうもろこし作付けに向けた生産管理とバイオマス量測定
<Tellus搭載済みデータ(面積またはシーン数)>
- GRUS: 750km2
- WorldView: 325km2
- Izanami: L1.1が6シーン、L1.2・L1.3がそれぞれ3シーン
【九州地方の一部】
<応募テーマ例>
(九州地方全般)
- 渋滞・駐車場空き状況/道路変化/重機の検出
- 災害発生時の利用可能/不可能な交通路の検出
- ため池の推移変動推定
- メディアにおける衛星データの利用推進
(福岡県)
- 土砂災害のハザードマップ作成
- 果樹畑の管理
(大分県)
- 農業支援を目的としたスマート農業サービス
(熊本県)
- 赤潮発生モデルの作成ならびに赤潮予測・防止・把握
- 太陽光パネル設置位置の予測
<Tellus搭載済みデータ(面積またはシーン数)>
- GRUS: 1,200km2(福岡県)、900km2(熊本県)、5,200km2(有明海)、2,700km2(八代海)、1,575km2(鹿児島湾)
- WorldView: 177km2(大分県)
- Pléiades: 225km2(福岡県)
- SPOT: 5,084km2(熊本県)、900km2(大分県)2,030km2(有明海)、2,448km2(鹿児島湾)
- StriX: 52シーン
- Izanami: L1.1は112シーン、L1.2・L1.3はそれぞれ56シーン
- ASNARO-2: 398シーン(九州ベースマップ)、14シーン(佐賀県)、44シーン(熊本県)※1シーンの面積は観測モードにより異なる。本事業で調達するデータはほとんどがSTRIPMAPモードで、1シーンは12km×12km。
上記データの他に、1月末までを目途に追加予定のデータがあります。3回目公募の応募内容を踏まえた追加調達は原則行わない予定です。なお、ALOS-2データは本事業への採択にかかわらず、すべての利用可能データがTellus上で閲覧可能です。データの有無についての詳細は事務局までお問い合わせください。
募集期間と採択件数
(a)公募A(事業化前提の試用)
- ・第1回(最大80件)
- 募集開始日:令和4年7月22日(金)
締切日:令和4年8月5日(金)13:00必着
採択結果通知予定日:令和4年8月12日(金) - ・第2回(20件程度。第1回の採択件数により追加あり)
- 募集開始日:令和4年10月14日(金)
締切日:令和4年10月28日(金)13:00必着
採択結果通知予定日:令和4年11月4日(金)
(b)公募B(アイデア段階の試用)
- ・第1回(最大50件)
- 募集開始日:令和4年7月22日(金)
締切日:令和4年8月5日(金)13:00必着
採択結果通知予定日:令和4年8月12日(金) - ※期間終了時に事業計画提出により、公募Aへの移⾏審査可。
- ・第2回(最大50件)
- 募集開始日:令和4年10月14日(金)
締切日:令和4年10月28日(金)13:00必着
採択結果通知予定日:令和4年11月4日(金) - ・第3回(最大50件)
- 募集開始日:令和5年1月13日(金)
締切日:令和5年1月27日(金)13:00必着
採択結果通知予定日:令和5年2月3日(金)
応募方法
詳細は「公募要領」を参照の上、必要書類をご提出ください。
FAQ
衛星データの対象地域について
- Q利用できる衛星データの対象地域の範囲をもう少し詳しく教えてください。
- A基本は、経済産業省が昨年度実施した情報提供依頼(RFI)に基づき、情報提供頂いた情報を基に、衛星データを選定し、実証地域において現時点で用意できる商業データをTellus上でご利用いただくことになります。ただし、事業化に向けて、ニーズが高い地域や衛星データについては、新規に調達してTellusに搭載することも検討しますので、少しでも実証地域の範囲にかかっている観測範囲(AOI)については(かかっていない範囲も含めて)「事業概要書(公募A)」又は「アイデア概要書(公募B)」にご記載ください。ただし、概要書にお書きいただいても調達をお約束するものではないことをご了承ください。
知的財産権について
- Q公募要領の「4.応募資格」「(3)知的財産権」及び同意書の【知的財産権について】に「衛星データのライセンスは経済産業省がエンドユーザとして登録されていますので、衛星データのライセンス規定を順守下さい。本事業では、既に応募者が応募の段階で所有しているアイデア以外、本事業で発生した知的財産権は一切保有できないものとします。無料で利用できる衛星データから派生したデータや情報を直接使っての商業活動は一切できません。」とありますが、ここでいう知的財産権の範囲について具体的に教えてください。
- A「公募要領」及び「同意書」の知的財産権に関する記述の対象は、本公募事業で無料利用できる衛星データに関してのみとなります。本公募事業で無料利用できる衛星データをもとに応募者が得たノウハウや作成したプログラムについては、本公募事業は関与しません。
開発環境について
- QTellusの開発環境は使えますか。
- A本公募事業において、Tellusの開発環境は貸与しません。本公募事業で採択された場合に使用できる無料衛星データを利用して、Tellus QGIS上で行える範囲を超えた解析をする場合は、さくらインターネットから開発環境を別途ご購入いただく必要があります。
お問い合わせ
お問い合わせは、お名前・ご所属・質問事項を明記の上、事務局まで電子メールで送付してください。
<問い合わせ先>
一般財団法人日本宇宙フォーラム
衛星データ利用環境整備・ソリューション開発支援事業事務局
担当:秋山・今野・蒔田
e-mail: sdu(at)jsforum.or.jp(メールを送信する際に(at)を@に置き換えてください。)
TEL:03-6206-4901
※テレワーク実施につき、お電話の問合せはご対応できない場合があります。
メールでのお問い合わせをお願いいたします。
※経済産業省では『衛星データ利用環境整備・ソリューション開発支援事業』の助成を受ける事業者の公募も行っています。
詳しくはこちらをご参照ください。
※衛星データプラットフォーム「Tellus」の公式メディア「宙畑」で本事業が紹介されました。分かりやすく説明されていますので是非ご覧ください。
https://sorabatake.jp/27985/